【評価】9/10
※レビュー評価基準
※海外ドラマレビュー/国内ドラマレビュー

見ていて元気が出るドラマ
創作物の物語は、当たり前ですが色々なジャンルがありますよね。気分爽快なもの(ダイ・ハードなど)、頭を使うもの(マイケル・ダグラスのゲームなど)、切ない映画(バタフライ・エフェクトなど)、泣ける映画(タイタニックなど)。そして見ていて頑張ろうという気になる物語。元気になる物語とも言えますが、見ていて前向きになれるドラマです。難しい謎もありませんし、複雑怪奇な人間関係も、張り巡らされた複線に頭を悩ませることもありません。何も考えずに見て、元気になれるドラマです。
タイトルのアグリー・ベティを直訳すると「醜いベティ」。何ともストレートなタイトルですが、確かにベティの見た目はその通りですからね。 一種のサクセスストーリーのお話です。不細工でファッションセンスも皆無のベティが、ファッション界のメジャー雑誌「モード」編集長のアシスタントに採用されるのですが、当然周りのお洒落で綺麗な女性たちとは全く違うので、虐められ、虐げられ、それでも頑張るというお話が基本です。
ただこういうサクセスストーリーの場合、虐められても頑張っているお話は簡単ですし、視聴者も「頑張れ」と共感しやすいのですが、次第に馴染み、意地悪だった同僚も良いところが見え始め、仲間になってくると、当初のサクセスストーリーとしての魅力が半減してしまうんですよね。ボクシングで言えば、王者に挑むまでの過程が最高にエキサイティングで、防衛戦ではモチベーションが下がるような、そんな感じでしょうか。サクセスストーリー、下克上物語の場合この辺が難しいですね。
プリズン・ブレイクや24など、典型的な海外ドラマである、所謂大作や本格派ドラマとは一線を画します。ジャンルで言えばコメディ要素が結構入っています。海外ドラマが好きならお勧めしますとは言えません。典型的な海外ドラマとは方向性が違いますから。それでもアメリカのドラマらしく、非常にクオリティが高いドラマです。
私は世間で大人気のブレイクしたプリズン・ブレイクや24が大好きです。今ひとつブレイクしていない海外ドラマでも、デッド・ゾーン、The 4400、ザ・シールドなども好きです。そしてこのアグリー・ベティの舞台でもある、ファッション業界にはこれっぽっちも興味ありません。幼少の頃からサッカーをずっとやっているので、スポーツメーカーは非常に詳しいですし、ジャージやスポーツ系の服のことはかなり詳しいですけどね。好きなドラマのジャンルもドラマの舞台にも、今までの私の指向とは少しずれていました。そんな私でもこのアグリー・ベティをもの凄く面白いと感じたので、ファッション業界の話なんて興味無い、典型的な海外ドラマが好きなんだという人でも、見ればはまるかも知れません。
たまにTVでやっていますが、きつい仕事のドキュメントや密着、仕事で頑張ってます系統のドラマは苦手です。家で寛いでTVを見ているのに、仕事のきつい話なんか見たくありませんから。しかしそんな私でもこのドラマは問題ありませんでした。仕事仕事の話ではありませんからね。この辺のことが心配な人も大丈夫かなと。あくまで仕事を通した人間関係の話なので、気楽に見られました。
最初に出てきた嫌な受付の女アマンダ。編集長の座を狙うウィルミナ。そのウィルミナのアシスタントのマーク。この3人は最初は凄く意地悪なキャラだったのですが、話が進むにつれ、それぞれの人生や事情を掘り下げていくことで、非常に魅力的な脇役になっていきました。あくまで意地悪な役所は殺さず、それでいて魅力があり、ベティとの距離を縮めていく。非常に上手い描き方、進め方だと思います。
アマンダなんて最初はただの尻軽女だったのですが、途中から自分でも気付かないうちに、「可愛い」と思うようになっていました。マークは単なる嫌らしい意地悪なやつだったのですが、オカマキャラが素晴らしい。マークの言動の至る所に笑いがあります。マークはこのドラマのお笑い役ですね。このキャラのおかげで物語が重くなりすぎずに済んでいます。ウィルミナなんて、最初は本当に完全に悪役で45歳位なのですが、可愛いと思ってしまうところもしばしば…。ウィルミナの役者は、黒人初のミスアメリカですからね。そりゃあ顔も体も整っていますよね。
意地悪キャラから仲間になるキャラの変遷は、どのドラマでもあることなのですが、アグリー・ベティはとにかくベティとの距離感の保ち方が素晴らしい。主人公が周りの障害に負けずに頑張るドラマでは、仲間になりすぎると障害が無くなって、ドラマ自体の魅力が薄れてしまいますからね。その点このドラマは、最後まで適度に周りが意地悪です。
Season1を全部見終わりましたが、アメリカのドラマの典型で完結してないんですよね。完全に「続く」の終わり方。それぞれのシーズンごとに1回終わらせて欲しいのですが…。私の好きだったドラマのThe 4400もデッド・ゾーンも、局の都合で急に尻切れで終わってしまいましたからね。人気がある限りしゃぶり尽くし、人気に陰りが見え始めたら、何の躊躇いもなくストーリーの整合性を無視しても打ち切る。こればっかりはアメリカドラマの困りどころです。アグリー・ベティがこの系統にならないように祈るばかりです。
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